アレルギー科
Allergy department
アレルギー科
Allergy department
アレルギー疾患には花粉症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどがあり、日本では戦後一貫して増加しています。
厚労省の調査によると、現代では小児の5%は喘息があり、乳幼児の5%は食物アレルギーを持っています。
当院では日本アレルギー外来認定専門医、小児科学会認定専門医の医師がアレルギーの診断にあたり、各種ガイドラインに基づいた「標準治療」を目指しております。
アレルギー疾患においては単なる治療にとどまらず原因アレルゲンの検査や重症度判定も大切です。当院では血液IgE検査、皮膚(プリック)テスト、呼吸機能検査、呼気ガス検査、食物負荷試験(重症を除く)、などを行える体制を整えております。
また、花粉症やダニアレルギーに対し2018年から5歳以上の小児に認可された舌下免疫療法にも対応しております。
小児のアレルギー疾患は「アレルギーマーチ」といって、乳児期のアトピー性皮膚炎から始まり、離乳期に食物アレルギー、1~3歳頃に気管支喘息、5~6歳頃にアレルギー性鼻炎、と進んでいきます。この過程を進行させないよう、一般診察や健診でも初期の疑い例、ハイリスク例のピックアップと指導を心がけております。
気管支喘息は発作的に喘鳴や咳などの症状を繰り返す病気ですが、その本体は慢性の気管支粘膜炎症にあります。
慢性の気管支炎症を引き起こす原因であるアレルゲンの除去、内服薬、吸入薬による炎症のコントロールが重要です。
小児の喘息には、乳児期だけで治る乳児喘息、小児期だけで治る小児喘息と、小児期に発症してそのまま成人アトピー型喘息に移行する喘息があります。
また、運動誘発喘息といって運動時のみに起こる発作、喘鳴は目立たず咳が主体の咳喘息、などもあります。
当院ではスパイロメーター(呼吸機能測定器)や呼気ガス検査器を用いて、正確な病態の把握に基づいた最適な治療を行うようつとめております。
アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニなどが原因となり鼻粘膜に生じるアレルギー疾患で、主に「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」の三大症状が引き起こされます。アレルギー性の結膜炎を同時におこすことが多いです。
治療は主に抗ヒスタミン薬の内服ですが、症状が強い時にはロイコトリエン拮抗薬や点鼻ステロイドを併用することもあります。
当院では、血液IgE抗体測定による原因アレルゲンの検索とその回避のための指導を心がけております。
また、5歳以上のお子さんにはスギ、ダニアレルゲンでの舌下免疫療法も行っております。
スギ花粉症の場合は宮城県だと症状をはっきり自覚する前の2月上旬までには受診していただくことをおすすめします。
2020年から、12歳以上の小児で重症の花粉症に抗IgE抗体注射薬のオマリズマブ(ゾレア)が保険適応になりました。前年の症状が特に重症でステロイド点鼻点眼でも十分に症状が抑えられなかった方が対象になります。
舌下免疫療法は、アレルゲンを舌の下部の粘膜から毎日少量ずつ取り込むことで体に「アレルゲンは無害なもの」と学習させ体質を改善する治療です。抗アレルギー薬内服などの対症療法とは違い根本原因にアプローチする治療で、これにより花粉症、通年性アレルギー鼻炎の症状を軽くできます。
この治療は数年間継続して行う必要がありますが、1年目からある程度の効果がみられます。
当院では5歳以上のお子さんで、スギ花粉症については全ての重症度で、通年性アレルギー性鼻炎については抗ヒスタミン薬を毎日のように必要とするケースを主な対象としています。
近年では「インペアードパフォーマンス」という抗ヒスタミン剤の副作用が知られるようになりました。抗ヒスタミン剤には眠気の副作用がありますが、眠気として自覚するに至らない集中力や計算力などの低下のことです。
抗ヒスタミン薬の内服頻度を減らし、副作用に妨げられず学業や習い事に本来の実力を発揮できるようにするためにも、舌下免疫療法はすすめられます。
当院では鳥居薬品のシダキュア(スギアレルゲン)、ミティキュア(ダニアレルゲン)、を使用しています。
アトピー性皮膚炎は、痒みのある湿疹を慢性的にくりかえす皮膚疾患です。ある程度の左右対称性があること、関節の内側など起こりやすい場所が決まっていること、年齢により症状が変わること、などが特徴です。
アトピー性皮膚炎の原因はまだはっきりとはわかっていませんが、皮膚の「バリア機能」の脆弱さと免疫的な体質を下地に、環境的要因が作用して発症すると考えられています。
アトピー性皮膚炎の治療の3つの柱は①スキンケア(保湿)②環境整備③ステロイドなどの抗炎症薬外用、です。当院ではこれを中心に丁寧な診察と指導をこころがけています。
最近の研究で、アトピー性皮膚炎の発症予防のため、新生児期からの保湿が重要であることが分かってきました。当院では、健診などでいらした低月齢の赤ちゃんに初期のアトピー性皮膚炎(特徴的な乾燥肌として現れます)が見られる場合はスキンケア指導を行っています。
蕁麻疹とは、皮膚の一部に膨疹(ぼうしん)と呼ばれる発疹が引き起こされる疾患です。
蕁麻疹の見た目は様々で、地図のような不整な形の地図状タイプ、毛穴に一致したブツブツがおこるタイプ、などがありますが、いずれも痒みがとても強いことが特徴です。
子どもに蕁麻疹が出るとまず食物との関連を疑う方が多いですが、最も多くみられるのは風邪などに伴う特発性蕁麻疹です。
特発性の蕁麻疹は数時間で治るタイプと、数日にわたり出たり消えたりを繰り返すタイプと、何ヶ月も出たり消えたりする慢性のタイプがあります。
食物が原因の場合のほとんどは食べてから30分以内に出現し、その日のうちに消えて翌日には持ち越しません。たとえ食事の直後に出た蕁麻疹でも、食事の内容によらず食物の消化による自律神経の活動などが原因のこともあります。
また、子どもでは蕁麻疹の特殊なタイプである「クインケ浮腫」などもしばしば見られます。これはまぶたや上唇の深部におこるもので、痒みのない膨隆だけのもので、短期間で自然に消失します。
食物アレルギーとは、食物が原因でおこる体調不良のうち、免疫反応が関係しているもののことです。
食べてすぐに症状がおこる即時型、即時型で重症な反応をおこすアナフィラキシー、食べて何時間もしてから頻繁な嘔吐で発症する消化管型、食べただけでは無症状で運動が加わると発症する食物依存性運動誘発アナフィラキシー、など、様々なタイプがあります。
原因は小児では卵、牛乳、小麦が最も多く、これらは3大アレルギー食品と呼ばれます。
食物アレルギーの治療はこの15年間で大きく変化しました。今では、予防のために乳児アトピー性皮膚炎の改善が大切であること、離乳食での開始を遅らせるとかえってその食物のアレルギーが増えること(卵、ピーナツで証明されています)、などが分かってきました。
当院では食物アレルギー予防のためのスキンケア指導、初回の離乳食摂取を安心して行えるサポート、などに力を入れています。
また、軽症例ではクリニック内で経口食物負荷試験を行っています。
食物アレルギーと間違えやすい反応のひとつに「食物不耐症」「仮性アレルゲン」による反応があります。仮性アレルゲンは青魚に含まれるヒスタミンが有名ですが、生理活性をもつ物質が食物中に含まれており、それを消化吸収することで食物アレルギーに似た症状がおこります。