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舌下免疫療法について|石巻市・東松島市の小児科・アレルギー科 おおば小児クリニック

舌下免疫療法について

Sublingual immunotherapy

舌下免疫療法についてSublingual immunotherapy

舌下免疫療法について

舌下免疫療法は、スギ(またはダニ)のアレルゲンタブレットを毎日摂取することで
「スギ(またはダニ)は敵じゃない、悪者じゃないんだよ、アレルギー反応をおこさなくていいんだよ」
ということを免疫系に教育する治療です。

人間の免疫系の基本性質として、「気道(鼻粘膜~肺)に入る物質は免疫系に敵認定される」仕組みがあります。
鼻粘膜は空気中の異物が肺に侵入するのを妨げるのがその働きです。肺が仕事をする上で必要なのは酸素と二酸化炭素だけなので、それ以外の物質は全て敵認定しても問題はありません。

一方、人間の免疫系のもうひとつの基本性質として、「腸管から入る物質は免疫系に受け入れられる」仕組みがあります。

人間は食べないと生きられません。栄養になるものなら何でも食べなければ生きられない場面があります。
そのため腸管は、アレルゲンになりやすい構造の物質でも受け入れるようになっているのです。(これを「免疫寛容」といいます。)

ではスギ花粉を食べれば花粉症の治療になるかと思うかもしれませんが、実はそうではありません。
スギ花粉は胃酸にとても弱いことがその理由です。スギ花粉を食べてもあっという間に胃で壊れてしまい、その先の腸での吸収が起こらないのです。ここで「舌下粘膜」というキーワードの出番です。舌の下の粘膜は腸管系に分類され、吸収機能もありながら、胃酸の影響がありません。
舌下錠の投与でスギ花粉の免疫療法を行うのはこのためなのです。

また、舌下粘膜は鼻粘膜と同じリンパ節(免疫系のステーション)の管轄であることも治療効果に関わっていると言われています。
(舌下免疫療法がなぜ効果を発揮するのか詳しいメカニズムには、実はまだ不明の点もあります。)

スギ花粉を舌下粘膜から毎日取り込むことで花粉症が治っていく理由の説明は以上です。

この治療は3年から5年続けることになりますが、3年なり5年が経過して初めて効果が出るわけではありません。
半年目には半年目、1年目には1年目なりの効果があり、年々高まります。
治療開始した初期には、半数以上の方に、かゆみや刺激感などの副作用が出ます。
この副作用は舌下錠を飲んでから数分以内に起きてきて、30 分くらいでかなり落ち着いてきますが、症状の強さは様々です。
ほとんど気にならないレベルの方から「耐えがたい」とおっしゃる方まで様々ですが、私見では小児では成人より軽いようです。
この副作用症状は治療開始から1~2ヶ月して体質の改善が始まると治まってきて、3~4 ヶ月でほぼみられなくなります。
副作用が辛い場合は、抗アレルギー薬の併用や、錠剤の分割、舌下に置く秒数を減らすなどのアレンジを加えて徐々に慣れて頂く場合もあります。

最も注意すべき副作用はアナフィラキシーです。最も起きやすいのは初回投与の時なので、クリニックで初回の投与を行い、最低30分間は院内で様子を観察します。
初回投与以外のタイミング(遠隔期)にアナフィラキシーを起こす可能性は、ゼロではないもののかなり低いと考えられています。
重症の気管支喘息や、食物アレルギーのアナフィラキシー歴がある場合はリスクとなります。気管支喘息と診断されている方で舌下免疫療法を行う場合は、喘息の治療をしっかり行い、コントロール状態を良くすることがアナフィラキシーの危険を下げる上で重要です。

治療は毎日続けるものですが、体調により数日お休みすることがあります。口内炎がある時、風邪でのどが痛い時、歯科治療や乳歯が抜けた時、などです。
さきほど人間の免疫系の基本性質として、体内に入る経路の違い(気道からか、腸管からか)でアレルギーをおこすかどうかが変わるというお話をしました。

もう一つの基本性質(仮説)として、「ダメージを受けた部分に付着した物質はアレルゲン認定されやすい」というものがあります。
これに関連した例としてアトピー性皮膚炎があると「経皮感作」による食物アレルギーが増える現象や、飲酒していた方がアニサキスアレルギーになりやすい現象などが知られています。

舌下錠は治療薬ですが、口の中にダメージがあるところにスギ(またはダニ)エキスが付着すると、逆にアレルゲン認定(感作)が進む可能性があります。
雨の日も風邪の日も、口の中が痛くても休まず頑張った子よりも、口内炎、風邪、歯科治療などの時はお休みした子のほうが3年なり5年なり後の最終治療効果が高まる可能性があります。

舌下錠をお休みする判断や期間が分からないケースではクリニックに問い合わせて頂いています。

舌下免疫療法は本邦では現在スギとダニの2種類が保険収載されています。この2つは平行して行うことも可能ですが、開始時期は数ヶ月ずらし、一方の導入初期副作用が消退してからもう一方を始めることをおすすめしています。

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