食物アレルギーについて
Food allergy
食物アレルギーについて
Food allergy
赤魚を食べて口の周囲~顔面が赤くかゆくなったと受診される患者様は多く、その大半は2~3歳でこれまでは赤魚をはじめ魚を食べても何も症状がなかったお子さんです。就学前ころにいつの間にか治る患者さんが多い印象です。
赤魚はアレルゲン特異的IgE検査のメニューにないため、かわりに生物学的に近いタラをはじめ日常的にその子が食べているサバ、マグロ、カレイ、シャケなど数種類の魚類のIgEを検査しますが、いくつかの魚種で微高値を取る患者様が多いです。
数値が高くない場合、赤魚以外はこれまで通り食べながら「もし魚を食べて症状がひどかったらこれを頓服して下さい」と抗ヒスタミン薬をお渡しし数年間様子を見、就学が見え体重が増えてきた頃に再び少量から赤魚を試す方針としています。
数値が高い方や赤魚以外の魚種でも反応がおきるようになってくるケースでは、入院の食物負荷試験ができる病院にご紹介しています。
2023年から食物アレルギーで表示義務がある「指定原材料」にクルミが加えられ、全部で8品目になりました(他の7つは卵、牛乳、小麦、エビ、カニ、ソバ、ピーナツ)。
2010年頃から健康目的でナッツを日常的に接種される方が増えたことがその背景にあります。(前から「経皮食物感作説」といって、家庭の空気中を漂う食物アレルゲンが赤ちゃんの皮膚に付着することが食物アレルギー発症の一因となるといわれていました。)
当院を受診されるナッツアレルギーの患者さんで多いのは、幼稚園くらいから小学校低学年で初めてのナッツを食べたら口の中が痒くなったパターンです。
ナッツアレルギーの血液検査は「コンポーネント検査」が望ましく、VIEW39などの多品目一律検査はおすすめできません。コンポーネント検査とは、食物中の様々な成分のうちアレルギーを引き起こす主成分のことで、クルミアレルギーではJug r 1、ピーナツではAra h 2、ヘーゼルナッツではAna o 3へのIgE抗体を一緒に検査し、結果を掛け合わせることでより精度の高い食物アレルギー血液検査を行うものです。これらのコンポーネント検査項目はVIEW39には含まれていません。
食物アレルギーで「全部のアレルギーを検査してほしい」「いっぺんに多数のアレルギーが分かる検査をしたい」と多品目セット検査を希望される方がいますが当院ではおすすめしていません。
日本アレルギー学会でも多品目アレルゲン検査は推奨されていません。
離乳食開始前後で食物アレルギーについてご不安な患者様には、詳細な問診の上で項目を絞り「コンポーネント検査」を加えた精度の高い血液検査をご提案しています。
また、問診の結果、食物アレルギーの可能性が高くないと考えられる患者様に対しては血液検査を保留し「アレルギーがあったとしても重症な症状を起こさない初回の食べさせ方」をお話しし初めての食材デビューをサポートしています。