卵黄の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸炎)について
Gastrointestinal allergy to egg yolk
卵黄の消化管アレルギー(食物蛋白誘発胃腸炎)について
Gastrointestinal allergy to egg yolk
食物アレルギーというと「食べてからわりとすぐに、蕁麻疹が出て、ひどい場合はアナフィラキシーになる」といった症状をイメージされる方が多いと思いますが、これとは全く違うタイプの食物アレルギーがあります。
乳児におこる、卵⻩が原因の「消化管アレルギー」は、通常の食物アレルギーと違い、
①食べてから2〜3時間も経ってから
②数十分のうちにたてつづけに複数回(2〜5回が多い)嘔吐する
③蕁麻疹やアナフィラキシーはおこさない
といった特徴があります。
「消化管アレルギー」の他に「食物蛋白誘発胃腸炎」と呼ばれることもあります。
離乳食開始後⽣まれて初めて卵⻩を食べさせた時に何回も嘔吐したとの主訴で受診されることが多いです。以前は稀な疾患とされていましたが、ここ10年ほどで発⽣が増えているという報告があります。
卵⻩の消化管アレルギーはその多くが1歳までに自然治癒し、残りの多くも3歳頃までには治ることが知られており、特別な治療はあまり行われません。
検査は、通常のアレルギー血液検査(特異的IgE測定)とは異なる「リンパ球刺激試験」などが行われることもありますが、確定診断への寄与度は高くなく、強くは推奨されていません。
当院では「卵⻩の消化管アレルギー」が疑われるお⼦様に対しては、安全性を考慮しながら負荷試験あるいは自宅での再摂取を行い診断します。
症状が強いお⼦さん、また他の疾患との区別が難しいお⼦さんについては、近隣の総合病院にご紹介させていただいています。
卵⻩をうっかり⼝にしてしまった場合も、30分〜1時間くらいで嘔吐がおさまり落ち着くことが多いのでまずは様⼦を⾒てもらいます。顔⾊が悪い、嘔吐が⻑引く、等の場合は受診して下さい。
診断からしばらくは卵⻩を除去する食事を行い、半年から1年後に自然治癒したか確認のため受診して頂きます。
「卵⻩の消化管アレルギー」は通常の「たまごアレルギー(卵白が主たる原因となる)」とは相関しないので、卵白まで除去する必要はありません。